~2016年2月に発行のdesign labo chicaのfree paper Vol.1より転載~
KHADI=カディとは、インド産の手つむぎ手織り布の総称である。
<インド独立とカディ>
インドがイギリスの植民地だった頃、「戦って独立戦争に勝っても、経済的に自立していなければ、本当の独立とはいえない」 「自分たちの着るもの食べるものは自分たちでつくろう」と説いて、非暴力の運動家・インド独立の父ガンジーが、すたれはじめていたカディを復活させた。
<カディを訪ねる旅・カラデラ村>
カディを愛する人、カディに関わる仕事の人たちは、不思議な穏やかさがある。 その理由を知りたくて、インドの出張の度に、いろいろなカディの村を訪ねている。2016年1月に訪ねたカラデラ村は染め・織り共に歴史が深い。カラデラ村のカディは、今も1本の糸をつむぐ伝統的なチャルカ(糸車)を使って、旧来の木製の織り機で布を織っている。カラデラ村のカディは、なんとも素朴で力強い印象がある。
のどかな半砂漠地帯にあるカラデラ村の小さな家々で、女性たちは家族の幸せを中心に生きている。ご飯を作り、洗濯と掃除、子供たちの世話をし、その合間にチャルカを回す。 村の生活は静かで平和で、毎日は忙しいけど、なんだかゆったりした、おおらかな感覚がある。
話はずれるが、経済成長期真っ只中のインドのライフスタイルは、どんどん変わっている。街はすっかり近代的で日本と同じような暮らしができる。田舎ではらくだに乗ったターバンのおじいさんが草原の真ん中でケータイで話をしているくらいネットワーク網は完璧のインド。でもなにか、街も田舎も、地面に、大地に近い感じがする。特にカラデラの村や人からは、そんな感覚を強く感じる。時代は変わっても人の感覚はそう簡単には変わらない。インドの、カラデラ村の「大地に近い感じ」に、私は、なんだかとても安心する。
<大地の布 カラデラ・カディ>
カラデラ村のカディは、主に織りは男性が担当し、糸つむぎは女性が家事の合間の内職としてつくっている。代々受け継がれてきたが、時代の変化とともに、旧来のチャルカでつむげる人は減りつつあるそう。現在カラデラ村では、つむぎ手150人、織り手3人。経済といっしょにチャルカが回らなければ、カラデラのチャルカはいつか博物館に飾られ、パネル展示と映像でしか知ることができなくなる。そんな日が来るのかは分からないが、ムーラとしてはこの、ガンジーが復興させた暮らしのためのカディが、インドの日常生活の中でずっと活躍するといいと思っているし、日本の日常にも心地よさを届けてくれるはず、と信じている。 「KHADIをつくることはHABIT=習慣である」と、カディを扱うインドの知人が言った。習慣は日常であり、人生であるということ。それは、豊かな人生だと思う。
2016.2/12 write by design labo chica代表・Mula:working clothデザイナー TSUJI MAMI
<カラデラ・タオル>
Sサイズ:28cm×28cm ¥350+tax
Mサイズ:28cm×60cm ¥600+tax
Lサイズ:60cm×90cm ¥1800+tax (現在予約のみ対応・お問い合わせ下さい)
カラデラ村で作られているコットンカディを使ってタオルを作りました。インドでもキッチンタオル・雑巾として利用されている働きものの布です。
一部お取扱店さまで手にとってご覧頂けるほか、(web shop準備中のため)直接ご連絡頂ければ直接お送りすることもできます。design.labo.chica@gmail.com
◆ワークショップ・展示会情報◆
◆2016年 4/16(土)~5/8(日)
「hand made fabrics and DAILY」 at or dans le sable(愛知県名古屋市)
Mula:working cloth のお洋服の販売・3日間限定で別注生地によるオーダー会・ちくちく針仕事ワークショップ。
◆お問い合わせ◆
design.labo.chica@gmail.com